2008年5月30日金曜日

コカ・コーラの瓶に立体商標登録!


コカ・コーラの瓶について、知財高裁(飯村敏明裁判長)は、立体商標登録を認めなかった特許庁の審決を取り消しました。 本判決からいえることは、
1.商品の容器について立体商標登録を受けるためには、その容器が使用により著名になっていること、
2.容器に付された平面商標によらず、容器によって識別力を得たこと
の立証が必要です。この立証のためには、
(1) 該容器(形状)の長年にわたる一貫した使用の事実
(2) 大量の販売実績
(3) 多大の宣伝広告等の態様及び事実
(4) 商品の形状が出所を識別する機能を有していることの調査結果 など
が必要です。 私もお世話になった鈴木修弁護士が原告弁護士です。

2008年5月28日水曜日

特許事件:最近の最高裁判決から

「ナイフの加工装置事件」(最判H20.4.24)について勉強した。
争点は、① 訂正棄却判決確定後の訂正審決の確定により、民訴法338条1項8号所定の再審事由の存在が認められるか? ② 本件訂正審決確定を理由に原審の判断を争うことは、特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されるか?
というものである。結論としては、
①について: 多数意見は「原判決の基礎になった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして再審事由が存するものと解釈される余地がある」としたが、1名(泉徳治裁判官)は再審事由には該当しないとした。泉徳治裁判官の意見では、「特許法104条の3の規定に基づく権利行使制限の抗弁の成否について行う判断は、訂正審決によってもたらされる法律効果も考慮の上で行うものであるから、訂正審決の確定は、原判決の基礎になった行政処分が変更されたということはできない」という。
②について: 紛争の解決を不当に遅延させるものであり、特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されない。
本判決から学ぶことは、特許権侵害訴訟における被告の権利行使制限の抗弁(特許法104条の3)に対しては、訂正審判を請求すれば無効部分を排除することができることを訴訟の場において主張し、同抗弁の成立を妨げることである。