2010年3月21日日曜日

陸上自衛隊のキャッチコピー「守りたい人がいる」

 埼玉県警は、平成22年度採用試験のポスターなどに使われた「守りたい『ひと』がいる。」というキャッチコピーが、陸上自衛隊の商標権を侵害している可能性があるとして、ポスターの自主回収をするということが報道されました(3/20 讀賣新聞朝刊等)。
 特許庁は、キャッチコピーあるいはスローガンの商標登録は原則として認めていません。(例:「習う楽しさ教える喜び」(不服2000-291号)、「取引者・需要者は、これを、各種学校等の教育に関する役務の理想、方針等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズであると認識、理解するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識しない」(東京高等裁判所判決平成13年6月23日)。問題は、出願された商標がキャッチコピーあるいはスローガンに該当するか否かの判断です。
 私が商標を始めたころ、会社の株主の商標で、有名なフレーズがありました。USPTOのホームページで調査したところ、現在生きているのは3件だけ(そのうち2件は図形商標)でしたが、「スローガンは商標登録できない。」という話を聞くと今でもこのフレーズを思い出します。
 
 (1) 左の図形商標
  (US Reg.No.1705918)
 
 (2) GOOD TO THE LAST, DROP
  (US Reg.No.0676419)

2010年3月10日水曜日

「着メロ」商標権2550万円 都の公売で落札

 昨日の日経新聞等で紹介されています。
 美少女ゲーム「CLANNAD」を開発したゲームメーカー・ビジュアルアーツ(大阪市)が携帯電話など電機通信区分(第38類)の商標(第4194385号)と、広告関連など7つの区分にまたがる商標(第4707135号)を総額2550万2000円で落札したということです。
 落札価格が高いかどうかはさておき、インターネット検索で「着メロ」を検索すると膨大な件数(Yahoo:約78,600,000件)ヒットします。
 ウィキペディア(Wikipedia)では、登録商標であることが配慮され「着信メロディ」として掲載されていますが、現代語辞典などでは既に掲載されているのではないでしょうか?
 新商標権者は、「商標使用の規制や使用料の徴収は一切考えていない」らしいが、商標の管理(普通名称化)の防止が難しいように思われる。もっとも、権利行使を考えず、「着メロ」の商標権者であることの価値が落札価格であると考えたのであれば第三者がとやかくいうことでもない、
 なお、私は、一度ではありますが、依頼されて商標の価値評価を行ったことがあります。関連する雑誌・書籍を読み、知り合い弁理士の意見を聞きながら、鑑定書というかたちで報告書にまとめたのですが、まったにないことらしく、依頼者に失礼かも知れませんが、いい経験をさせてもらったと思っています。