2014年6月22日日曜日

(続)「LADY GAGA」はCDやDVDの品質(内容)表示か?

 早いもので、先の投稿から数ヶ月経過しました。その後、他の研究部会へ出席し、諸先輩の話を伺い、私の考えも変わってきました。。
 昨年12月に「LADY GAGA」判決(H25.12.17 知財高等判 H25(行ケ)10158 審決取消請求事件)が出ました。日本弁理士会商標委員会は、昨年10月に『歌手名・音楽グループ名』よりなる商標の拒絶理由の運用について、特許庁に要望書を提出しています。
知財高裁の判決は、日本弁理士会商標委員会の要望とは反対の結論であり、現在の特許庁の運用を認めるものです。

 「判決を是認する立場」の諸先輩によると、CDやDVDにおける歌唱者名の表示は、商品であるCDやDVDの出所(製造者・販売者)を表示するものではなく、内容表示にあたるというものです。
 歌唱者名が無名なら、内容表示に該当しないが、歌唱者名として名が知られていくにつれ、当該歌唱者とその者による演奏・歌唱との間には一体的な意味合いが生じ、当該歌唱者名は当該演奏・歌唱の内容そのものを認識させるようになります。レディ・ガガのような著名な歌手になれば、需要者は、そのCDやDVDに収容された楽曲の歌い手ととらえるので、それは、本来的に登録することができない商標(商標法3条1項3号)に該当するというものです。

 歌唱者名が無名ならば登録され、有名になれば登録されないというのは、信用の化体した有名な商標がより厚く保護されるべき商標制度の趣旨に反しているようにも思われますが、商品等との関係で識別力を有さない商標を保護しないのは、商標法の基本的な考えですから、諸先輩の上記「判決を是認する立場」が正しいのでしょう。

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